忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「先生」

「ん?」

「私、どうしたらいいのかな」

「何が?」

「みんなに会うの……」

「普通にしてればいいんじゃない?」

「できるかな……」

「亜美が何も言わなきゃ、誰も知らないかもしれないだろ」

「…………」

「本当に見てた人がいるかも、まだ分かんないし」

「うん」

「だから今は気にしなくていいよ」

「…………」

 亜美は小さく頷いた。

 丈の言っていることは分かる。

 まだ何も決まっていない。

 なのに。

 人の顔を思い浮かべるたび。

 知ってる?

 そう考えてしまう。

「先生は」

「ん?」

「嫌じゃない?」

「何が?」

「私がこうやって……すぐ来るの」

「亜美が来たいんだから、いいんじゃない?」

「……いいの?」

「俺は困ってないよ」

「…………」

「だから気にしなくていい」

「……うん」

 また少しだけ安心する。

 自分でも説明できないことを。

 丈には説明しなくていい。

 分からなくても。

 まとまっていなくても。

 ここにいていい。

「…………」

 亜美はようやく、いつものように息ができるようになっていた。