忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「遅えよ」

「悪い悪い」

「何してた?」

「何も」

 群司は元の席へ戻る。

「で、何の話だっけ?」

「お前が昨日――」

 すぐに、いつもの会話へ戻った。

 笑う。

 ふざける。

 友人の弁当から勝手におかずを取って怒られる。

 いつもの昼休み。

 それなのに。

 ふと。

 頭に浮かんだ。

 風に揺れる黒髪。

 イヤホン。

 一人で座っていた姿。

「なあ」

 群司が突然口を開く。

「ん?」

「いや……」

 やっぱりやめる。

「何だよ」

「何でもねえ」

「気になるだろ」

「マジで何でもないって」

 群司自身。

 何を聞こうとしたのか、よく分からなかった。

 亜美さんって、いつも一人なの?

 そんなことを聞こうとしたのかもしれない。

 でも。

 なぜ自分がそんなことを気にするのか。

 それも分からなかった。