忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「あ、群司――」

 戻ってきた群司を見つけ、光成が声を上げた。

 その隣で鉄も顔を上げる。

 群司は一人だった。

 俯いたまま歩いてくる。

「どうだっ――」

 光成が言いかけたところで、鉄が腕を掴んだ。

「ん?」

「光成」

「何?」

「今、聞かない方がいいよ」

「…………」

 光成が群司を見る。

 さっきまでとは明らかに違う。

 ステージを終えたときの高揚も消えていた。

 表情が硬い。

「……あ」

 光成も口を閉じた。

 群司が二人の前まで来る。

「…………」

「おかえり」

 鉄がいつも通りに言った。

「……うん」

 それだけ返して、群司は通り過ぎた。

 光成と鉄は、その背中を見送る。

「…………」

「…………」

 光成の肩が落ちた。

「だめだったかぁ……」

「みたいだね」

「せっかく二人にしたのに」

「うん」

「うまくいくと思ったんだけどな」

 光成が残念そうに息を吐く。

 鉄も少しだけ眉を下げた。

「僕も」

「…………」

 戻ってきたのは群司一人。

 亜美はいない。

「恋って難しいな」

 光成が呟く。

「難しいね」

 鉄も答えた。