忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 亜美は人混みの中を歩いていた。

 息が苦しい。

 どこへ向かっているのかも分からない。

『丈って人と一緒にいただろ』

「……っ」

 また思い出す。

『聞いた』

 やめて。

 今は考えたくない。

 なのに今度は、唇に群司の感触が蘇る。

「…………」

 亜美は唇を押さえた。

 怖かった。

 何が起きたのか、まだうまく整理できない。

『群司怖いよ……』

 そう言ったのに。

 腕を掴まれて。

 キスされた。

「…………」

 足を速める。

 人の間を抜けても、胸のざわつきは消えなかった。

 亜美はスマートフォンを取り出した。

 震える指で画面を触る。

 気づけば、丈とのやり取りを開いていた。

『先生』

 送る。

 すぐに返事が来た。

『何』

「…………」

 それだけで、少しだけ息ができた。

『会いたい』

 送信する。

 しばらくして。

 丈から居場所が送られてきた。

 亜美はスマートフォンを握ったまま、走り出した。