忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 亜美は、

 群司の隣を歩いていた。

 文化祭の賑やかな声が、

 少しずつ遠くなる。

 群司は何も言わない。

「群司?」

「ん?」

「どこ行くの?」

「もうちょっと」

「そっか」

 亜美はそのままついていく。

 光成先輩も。

 鉄先輩も。

 何か知っているみたいだった。

 群司を見る。

 横顔が、

 いつもより硬い。

「…………」

 何の話だろう。

 そう思ったとき、

 風が吹いた。

 亜美の長い黒髪が揺れる。

 群司は、

 ほんの一瞬そこへ目を向けた。

 そして、

 前を見る。

「…………」

 今から言う。

 ずっと、

 言えなかったことを。

 昨日何を見たとしても。

 今、

 胸の中に何が渦巻いていても。

 それより先に、

 伝えたかった。

 自分が、

 亜美を好きだということを。

 群司は隣を歩く亜美を見る。

 もう、

 逃げたくなかった。