忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 片付けが始まった。

 亜美も先輩たちのところへ戻ろうとした、そのとき。

「亜美ちゃん」

「はい?」

 光成に呼び止められる。

「今、暇?」

「え?」

「ちょっとくらい暇でしょ?」

「先輩たちのところに戻ろうかと」

「え、休んでいいって言われたんじゃないの?」

「そうですけど」

「だったらいいじゃん」

「何がですか?」

「いや、だからさ」

 光成が群司を見る。

「群司」

「何すか」

「今?」

「…………」

「今なんだ?」

「何がすか」

「いや、分かるって」

「…………」

 群司が黙る。

 光成の口元が、

 にっと緩んだ。

「じゃあさ、行ってくれば?」

「…………」

「亜美ちゃんも今休憩なんでしょ?」

「はい」

「ほら。ちょうどいいじゃん」

「何がちょうどいいんですか?」

「そこは気にしなくていい!」

「気になります」

「じゃあ――」

「光成」

 鉄が止める。

「何?」

「余計なこと言わない方がいい」

「あ」

「…………?」

 亜美は首を傾げる。

「何の話ですか?」

「何でもない!」

「絶対何かありますよね?」

「ないない。全然ない」

「…………」

「ほら、群司」

 光成が群司を見る。

「行ってこいって」

「…………」

「大丈夫だって」

 今度は、

 少しだけ声が変わった。

「頑張れよ」

「光成先輩?」

「あ」

「何を頑張るんですか?」

「…………」

 光成が鉄を見る。

「鉄」

「知らない」

「助けてよ」

「自分で何とかして」

「マジ?」

 亜美には、

 ますます分からない。

 群司が小さく息を吐いた。

「亜美」

「ん?」

「行こ」

「…………」

 いつもと違う。

 そんな気がした。

「うん」

 亜美は頷いた。