忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「終わったー!」

 舞台袖へ戻った瞬間、

 光成が声を上げた。

「マジ疲れた! でも最高!」

「お疲れさまです!」

「亜美ちゃん見てた?」

「見てました!」

「どうだった?」

「すごかったです!」

「マジ? 鉄、聞いた?」

「聞こえた」

「すごかったって!」

「よかったね」

「お前もだって!」

「うん」

「もっと喜べよ」

「嬉しいよ」

「見えないって!」

 光成が笑う。

 亜美もつられて笑った。

「鉄先輩も、すごくかっこよかったです」

「ありがとう」

「え、俺は?」

「光成先輩もです」

「ついでみたいじゃん!」

「そんなことないです」

「ほんと?」

「本当です」

「じゃあいいや」

「早い」

 鉄が言う。

「いいじゃん、褒められたし」

「お前ら」

 穂高が近づいてくる。

「終わったからって騒ぐな。まだ片付けあるぞ」

「えー」

「えーじゃない」

「ちょっと休もうぜ」

「五分だけな」

「やった!」

「光成」

「何?」

「十分後にいなくなってたら探すからな」

「怖っ」

「逃げる気だった?」

 鉄が聞く。

「ないない。全然ない」

「今考えてた」

「考えてないって!」

 亜美が笑う。

「穂高先輩も、お疲れさまでした」

「おう」

「すごかったです」

「ありがとな」

 穂高は短く答えると、

 すぐに他のメンバーへ声をかけに行った。

「亜美ちゃん!」

「はい?」

 先輩マネージャーが手を上げる。

「こっちは私と寧々ちゃんでやるから、ちょっと休んできていいよ!」

「でも」

「朝からずっと動いてたでしょ?」

「大丈夫です」

「大丈夫なうちに休む!」

「…………」

「ね?」

「……分かりました」

「よし!」

「亜美ちゃん、飲み物飲んできたら?」

 寧々も笑う。

「はい。ありがとうございます」

 亜美は二人から離れた。

 そこで、

 少し離れたところにいる群司に気づいた。

「群司」

「…………」

 亜美が近づく。

「すごかった」

「……ありがと」

「途中、すごい歓声だったね」

「うん」

「練習してたところも、ちゃんと揃ってたし」

「…………」

「群司?」

「ん?」

「疲れた?」

「まあ」

「そっか」

 いつもより、

 返事が短い。

 亜美は群司の顔を見る。

 少し、

 様子が違う。

「亜美」

「ん?」

「あとで、ちょっと話せる?」

「私と?」

「うん」

「…………」

 何だろう。

「いいけど」

「じゃあ、片付け終わったら」

「うん」

「待ってて」

「分かった」

 亜美は頷いた。