忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 群司は踊っていた。

 音だけを見る。

 次。

 次。

 身体に染み込んだ振りを繋げていく。

 今は、

 踊るだけ。

 光成が視界に入る。

 鉄がいる。

 穂高が前へ出る。

 次の位置へ。

 足を運ぶ。

 身体を返す。

 歓声が聞こえる。

 そのとき、

 一瞬だけ舞台袖が視界に入った。

 亜美がいた。

 自分たちを見て、

 笑っている。

「……っ」

 足が、

 ほんのわずかに遅れた。

 すぐに戻す。

 誰にも気づかれない程度のズレ。

 それでも、

 群司には分かった。

 今はステージの上だ。

 群司は視線を戻し、

 最後まで踊り切った。