忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「亜美ちゃん!」

「はい!」

「タオルどこだっけ?」

 光成が辺りを見回している。

「あっちです」

「どっち?」

「光成先輩の後ろ」

「え、後ろ?」

 光成が振り返る。

「あった!」

「さっきからある」

 隣にいた鉄が言う。

「知ってたなら教えてよ」

「今教えた」

「遅いって」

「光成が見てないだけ」

「マジ?」

「うん」

「じゃあ俺が悪いじゃん」

「そうだね」

「鉄、冷たくない?」

「普通」

 亜美が思わず笑う。

「二人とも、そろそろ準備した方がいいですよ」

「大丈夫だって。まだ――」

「光成」

 低い声が飛んできた。

「はい!」

 光成がすぐに振り返る。

 穂高が立っていた。

「喋ってないで準備しろ」

「してるって」

「してないだろ」

「今からする!」

「鉄」

「うん」

「こいつ連れてけ」

「分かった」

「え、俺?」

「行くよ、光成」

「待って。何で俺、鉄に連れてかれるの?」

「早くしろ」

「はいはい!」

 光成が笑いながら鉄についていく。

 穂高はすぐに別のメンバーへ声をかけた。

「そっち準備できてるか?」

「はい!」

「衣装まだのやつ急げ。時間押してるぞ」

 次々に指示が飛ぶ。

 騒いでいた人も。

 緊張している人も。

 穂高が声をかけると動き出す。

「亜美ちゃん」

「あ、はい!」

 先輩マネージャーに呼ばれる。

「これ、寧々ちゃんのところ持っていって!」

「分かりました」

 亜美も自分の仕事へ戻った。