忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 別れ際。

 亜美は数歩進んでから振り返った。

「先生」

「何?」

「来てくれて、ありがとう」

「呼んだの亜美じゃん」

「そうだけど」

 丈は笑った。

「また呼べば?」

「え?」

「会いたくなったら」

「…………」

 亜美は少しだけ目を丸くする。

 それから、

「……うん」

 頷いた。

「じゃあね、先生」

「気をつけて」

「はーい」

 今度こそ、

 亜美は歩いていった。

 丈は、その後ろ姿を見送る。

 歩くたび、

 長い黒髪が揺れる。

 その下に、

 小さな跡が隠れている。

 明日。

 亜美は文化祭へ行く。

 丈は静かに目を細めた。