忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 二人きりになっても、

 亜美は丈の服を掴んだままだった。

「亜美」

「……何」

「まだいい?」

 亜美は顔を上げる。

「聞かないで」

「…………」

「今は、何も聞かないで」

 丈は亜美を見た。

「分かった」

 それだけ。

 何があったのか。

 どうして泣いているのか。

 丈は聞かなかった。

 亜美は自分から、丈へ身体を寄せる。

「先生」

「ん?」

「お願い」

 丈の腕が、

 ゆっくりと亜美を包んだ。

 髪を撫でられる。

 何度も、

 優しく。

 亜美は目を閉じた。

 何も考えたくない。

 今だけは、

 全部。

 忘れたい。

 顔を上げる。

 丈の手が頬に触れた。

 涙の跡を指先で拭う。

 唇が重なった。

 触れて、

 離れる。

 亜美は目を開けた。

 丈を見る。

 そして、

 今度は自分から距離を縮めた。

 丈は拒まなかった。

 そのまま、

 亜美を受け止めた。