忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「亜美」

「…………」

 その声に、

 亜美が顔を上げた。

「先生……」

 丈が近づく。

 その瞬間、

 亜美の顔が歪んだ。

「……先生」

 丈は何も聞かなかった。

 亜美から届いた。

『会いたい』

 その言葉だけで、

 何か起こったことは分かっている。

「大丈夫?」

「…………」

 亜美は首を横に振った。

「そっか」

 どうした。

 何があった。

 丈は聞かない。

 そのことが、

 今は余計に苦しかった。

「先生……」

「ん?」

「もう、やだ」

 亜美の顔が歪む。

「何も考えたくない」

 涙が落ちた。

「亜美」

「忘れたい」

「…………」

「今日のこと、全部」

 亜美が丈の服を掴む。

「先生」

「ん?」

「……して」

 丈の目が、わずかに細くなる。