忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 群司は廊下の角から、その姿を見た。

「…………」

 丈。

 この前、初めて名前を知った男。

 亜美と一緒にいた男。

 練習が終わったあと、

 なぜか、亜美のことが気になった。

 そのまま帰ればよかったのに。

 気づけば、

 以前、丈を見た部屋へ向かっていた。

 何を確かめたいのか、

 自分でも分からないのに。

 その部屋から、

 丈が出てきた。

「…………!」

 スマートフォンを見ている。

 歩くのが速い。

 急いでいる。

 丈が廊下を曲がった。

 群司は迷った。

 ほんの数秒。

 それから、

 あとを追った。