忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 部屋の中では、幸也が一人残っていた。

「…………」

 キーボードの前へ座り、鍵盤に指を置く。

『無かったことにしたいです』

「…………」

 無かったことには、ならない。

 亜美が自分を好きだと。

 もう、知ってしまった。

 一音。

 鳴らす。

「…………」

 いつもと同じ音。

 それなのに。

 今日は少しだけ、違って聞こえた。