忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 文化祭前日。

 大学へ着いてから。

 亜美は、何度もスマートフォンを見ていた。

「…………」

 昨日送ったメッセージ。

『文化祭の前日、少し時間ありますか?』

 返ってきたのは。

『いいよ』

『練習終わったあとなら』

 何度見ても。

 書いてあることは変わらない。

 それなのに。

 画面を開くたび。

 胸が鳴る。

 今日。

 言う。

 ずっと。

 言えなかったことを。

 幸也先輩に。

 好きだと。

「亜美ちゃん」

「……はい」

「これ、確認お願い」

「あ、はい」

 慌ててスマートフォンをしまう。

 渡された資料へ目を落とした。

 一行目。

 二行目。

 三行目。

「…………」

 何も。

 頭に入ってこない。

 もう一度。

 最初から読む。

「亜美ちゃん?」

「え?」

「大丈夫?」

「……大丈夫です」

「疲れてる?」

「少しだけ」

 笑って誤魔化す。

 でも。

 疲れているわけではなかった。

 緊張している。

 ただ。

 それだけ。

 それだけなのに。

 自分の身体が。

 自分のものではないみたいだった。