忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 そのあとも。

 亜美は何度か。

 文化祭前日。

 と口にした。

「前日……」

「何回言うの」

「覚えようと思って」

「忘れないだろ」

「心の準備」

「今から?」

「今から」

「早すぎ」

「先生には分からない」

「俺だって告白くらいしたことあるよ」

「……あるの?」

「何その顔」

「想像できない」

「失礼だな」

「先生、告白される方っぽい」

「へえ」

「何?」

「俺のことそういう目で見てたんだ?」

「違う」

「顔赤いけど」

「赤くない」

「赤い」

「もう帰る」

「はいはい」

 亜美が少し早足になる。

 丈は。

 その少し後ろを歩いた。

 笑って。

 いつも通り。

 亜美をからかいながら。

「…………」

 その目だけが。

 少しずつ。

 笑わなくなっていった。