忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「先生」

「ん?」

「今、いい?」

 塾の職員室から出てきた丈が足を止めた。

「いいけど」

 丈は亜美を見る。

「どうした?」

「…………」

「何その顔」

「どんな顔?」

「何か言いたそうな顔」

「……言いたいことあるから」

「じゃあ言えば?」

「言いにくい」

「じゃあ聞かない」

「聞いて」

「どっちだよ」

 丈が笑う。

 その顔を見て。

 亜美の肩から、ほんの少しだけ力が抜けた。

 やっぱり。

 丈と話すと。

 少し楽になる。

「ここじゃ嫌」

「はいはい」

 丈は慣れたように答えた。