忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「……気づいてたんですね」

「結構すぐ」

「そうなんだ……」

 嬉しい。

 でも。

 それを顔に出すのは。

 少し恥ずかしい。

 亜美は誤魔化すように視線を落とした。

「で?」

「え?」

「待ってたってことは、俺に何か用あったんじゃないの?」

「あ」

 そうだった。

 亜美は顔を上げる。

「あの」

「ん?」

「文化祭のこと、聞きたくて」

「文化祭?」

「はい」

 亜美は幸也を見る。

「幸也先輩、ステージ出ますか?」

「出るよ」

「…………!」

 その瞬間。

 胸の中に。

 ぱっと明かりが灯った。

「本当?」

「うん」

「さっきの人たちと?」

「そう」

「キーボード?」

「それ以外何やんの」

「……ギター」

「弾けなくはないけど」

「弾けるんですか?」

「そこ食いつく?」

「だって知らなかった」

「ピアノほどじゃないよ」

「見たい」

「文化祭の話どこいったんだよ」

「あ」

 幸也が笑う。

 亜美も。

 つられて笑った。

 楽しい。

 ただ話しているだけなのに。

 幸也と話している時間は。

 いつも少しだけ。

 時間が早く進む気がする。

「あ、そうだ」

 亜美は思い出す。

「何時ですか?」

「え?」

「ステージ」

「食いつくなあ」

「あ……」

 言われて。

 少し恥ずかしくなった。

「すみません」

「何で謝んの?」

「なんとなく」

「高校のときから変わんないな」

「…………」

 胸が。

 また鳴った。

 高校のときから。

 その言葉が。

 妙に嬉しかった。