忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 軽音サークルの部室へ向かう。

 疲れている。

 今日も朝からずっと動いていた。

 それなのに。

 身体が少しだけ軽かった。

「…………」

 最後に。

 幸也のところへ行ったのは、いつだっただろう。

 文化祭の準備が忙しくなってから。

 以前ほど部室へ行けなくなった。

 幸也にも。

 あの音にも。

 しばらく触れていない。

 仕方がない。

 分かっている。

 自分でマネージャーをすると決めた。

 みんなが頑張っているのだから。

 自分も頑張りたい。

 でも。

 会えない日が続くと。

 少しだけ。

 寂しかった。

「…………」

 幸也先輩。

 出るかな。

 出てほしい。

 見たい。

 ステージで弾くところを。

 そう考えるだけで。

 胸の奥が少しずつ弾んでいく。

 いつの間にか。

 歩く速度が上がっていた。