忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 帰りの電車。

 群司は窓に映る自分を見る。

「…………」

 結局。

 食事をしている間も、忘れられなかった。

 知らない男と。

 楽しそうに笑っていた亜美。

 光成にも。

 鉄にも。

 そのことは言わなかった。

 言いたくなかった。

 自分でも。

 どうしてあんなに気になったのか。

 分かっている。

 好きだから。

 高校の頃から。

 ずっと。

 亜美が好きだから。

 他の男といるだけで、こんな気持ちになる。

「…………」

 スマートフォンを取り出す。

 亜美との画面を開く。

 最後のやり取り。

『明日の集合、いつもより早いって』

『分かった。ありがとう』

 いつも通り。

 何も変わっていない。

 指を動かす。

『今日、一緒にいた人』

 そこまで打って。

 止まる。

「…………」

 消した。

 聞いて。

 どうする。

 あの男が誰なのか。

 知りたい。

 亜美とどういう関係なのか。

 知りたい。

 でも。

 もし。

 知りたくない答えだったら。

「…………」

 スマートフォンを閉じた。

 窓の外を見る。

 暗くなった街が流れていく。

 文化祭。

 ステージのあと。

 二人きり。

 光成と鉄は、きっと本当にやる。

「…………」

 亜美が好きな人。

 あの男なのか。

 違うのか。

 まだ分からない。

 それでも。

 自分の気持ちくらい。

 もう。

 分かっていた。