忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 亜美が何か言った。

 男が笑う。

 亜美も笑った。

「…………」

 また、胸がざらつく。

 あんな顔。

 俺にもするだろ。

 そう思った。

 何度も見ている。

 特別じゃない。

 分かっている。

 なのに。

 目を逸らせなかった。

 男が歩き出す。

 亜美も当たり前みたいについていく。

「…………」

 どこ行くんだよ。

 そう思った瞬間、自分でも嫌になる。

 俺に関係ないだろ。

 亜美が誰と帰ろうが。

 どこへ行こうが。

 亜美の自由だ。

 付き合ってるわけでもない。

 好きだと伝えたことすらない。

 なのに。

 行くなよ。

 そう思った。

「…………」

 言えるわけがなかった。