忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 文化祭に向けた練習が続いていた。

「そこ、もう一回合わせよう」

 音楽が止まる。

 位置を確認して、また曲が流れる。

 群司も鏡を見ながら身体を動かす。

 何度も繰り返して、ようやく休憩になった。

「疲れたー!」

 光成が床に座り込む。

「まだ始まったばっかだよ」

 鉄が隣に座った。

「鉄、元気すぎない?」

「普通だと思う」

「絶対普通じゃないって」

 群司は二人の横を通り過ぎる。

「群司ー」

「何すか」

「亜美ちゃんは?」

「知らないっすよ」

「え、知らないの?」

「何で俺が全部知ってると思ってるんすか」

「だって群司じゃん」

「意味分かんないです」

 鉄が辺りを見る。

「寧々と一緒じゃない?」

「多分」

「群司、知らないんだね」

「だから知らないって言ったじゃないすか」

 光成が大げさに肩を落とす。

「まだまだだなあ」

「何がですか」

「恋!」

「…………」

「痛っ!」

 群司が光成の肩を軽く叩いた。

「何すんだよ!」

「うるさいっす」

 鉄が隣で笑っている。

「鉄先輩も笑わないでくださいよ」

 群司が言う。

「ごめん」

「絶対思ってないでしょ」

「うん」

「ほら」

「鉄までひどくない?」

 くだらない。

 そう思いながらも、群司は無意識に亜美の姿を探していた。