忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 二人で歩く。

「疲れた?」

「疲れた」

「即答」

「だって本当に疲れたもん」

「忙しい?」

「すごく」

「そっか」

 亜美は今日あったことを話し始めた。

 文化祭の準備。

 練習が増えたこと。

 マネージャーの仕事も増えたこと。

 寧々に、やりすぎるなと言われたこと。

「それは言われるだろうね」

「何で?」

「亜美、全部やろうとするから」

「全部じゃないよ」

「全部」

「違う」

「受験のときもそうだったじゃん」

「…………」

「夜まで残ってた」

「それは勉強」

「同じでしょ」

「違うよ」

「どこが?」

「…………」

 考える。

「分かんない」

「ほら」

「先生ずるい」

「何が」

 丈が笑う。

 亜美も笑った。

 こうして、何でもない話をする。

 久しぶりだった。

 それだけなのに。

 楽しい。

 話したいことが、次から次へと浮かんでくる。

「あとね、光成先輩と鉄先輩が」

「前言ってた二人?」

「覚えてるの?」

「聞いたからね」

「うん。その二人が今日もずっと一緒で」

「本当にずっと一緒なんだ」

「うん」

「仲良いね」

「すごいよ。気づいたら二人いる」

「セットなんだ」

「そう」

 また笑う。

 先生は。

 覚えている。

 前に話したことも。

 誰のことなのかも。

 だから、最初から説明しなくていい。

 亜美が話せば。

 丈には伝わる。

 それが。

 やっぱり心地よかった。