忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 文化祭が近づくにつれて。

 サークルの練習は増えていった。

「亜美ちゃん、こっち確認お願い」

「はい」

「終わったら衣装の方も見てもらっていい?」

「分かりました」

 返事をして、手元の紙に目を落とす。

 参加人数を確認して、名前を照らし合わせる。

 その間にも。

 音楽が流れる。

 誰かに呼ばれる。

 また返事をする。

「亜美」

「何?」

「水なくなった」

「向こうにあるよ」

「どこ?」

「あそこ」

「分かんない」

「群司」

「はい」

「自分で探して」

「冷たいなあ」

 群司が笑いながら離れていく。

 亜美はまた紙に目を戻した。

 忙しい。

 でも。

 少しずつ慣れてきた。

 次に何をすればいいのか。

 誰に確認すればいいのか。

 前より考えなくても動ける。

 それが少し嬉しかった。