忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 そして。

 文化祭が近づくにつれて、サークルはさらに忙しくなっていった。

「一回、集まってくれ」

 練習が終わると、穂高の声が響いた。

 それぞれ話していたメンバーが、穂高の周りへ集まっていく。

「文化祭について話す」

 穂高は手元の資料に目を落とした。

「今年もステージに出る。時間はまだ最終決定じゃないが、ここから練習は増える」

 周りから声が上がる。

「出演するやつはもちろん、マネージャーにも頼むことが増えると思う。決まったことはその都度共有する」

「はい」

 亜美も頷いた。

 配られた資料を見る。

 出演メンバー。

 曲。

 練習予定。

 当日の流れ。

 まだ決まっていないところには、空欄がたくさんある。

 これから。

 ここが全部埋まっていく。

「亜美ちゃん」

「はい」

「文化祭近くなったら、ほんと忙しくなるよ」

 寧々が言った。

「今よりですか?」

「今より」

「…………」

「嫌になった?」

「ううん」

 亜美は首を振った。

「頑張ります」

「頼もしい」

 寧々が笑う。

 亜美も笑った。

 文化祭。

 大学に入って初めての文化祭。

 少し、楽しみだった。