忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 五月。

 ダンスサークルに入ってから。

 亜美の毎日は、思っていたよりずっと忙しくなった。

「亜美ちゃん、これお願いしていい?」

「はい!」

 寧々から渡された紙を受け取る。

 練習場所の確認。

 参加人数。

 次のイベントの予定。

 欠席するメンバーからの連絡。

 マネージャーの仕事は、ただ練習を見ているだけではなかった。

「こっちは私がやるから」

 三年生のマネージャーが言う。

「寧々ちゃん、亜美ちゃんに出欠のまとめ方教えてあげて」

「はーい」

「お願いします」

 ダンスサークルには、たくさんの人がいる。

 名前と顔を覚えるだけでも大変だった。

 練習は週に何度もある。

 学外のイベントにも出る。

 文化祭。

 合宿。

 発表会。

 そのための準備も、全部自分たちでやる。

 音源。

 衣装。

 ステージの構成。

 練習場所の確保。

 マネージャー三人も、それを支えるために動いていた。

「亜美ちゃん」

「はい」

「これ、今日中じゃなくて大丈夫だからね」

 寧々が笑う。

「はい」

「真面目だから全部今日やりそう」

「…………」

「やろうとしてた?」

「……ちょっと」

「やっぱり」

 寧々が笑った。

 亜美もつられて笑った。