忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「大学どう?」

 駅へ向かいながら、丈が聞いた。

「楽しいよ」

「そっか」

「あのね。ダンスサークル、入ったの」

「見に行くって言ってたやつ?」

「うん」

「入らないって言ってなかった?」

「言ったけど……」

 亜美は少しだけ笑った。

「マネージャーならいいかなって」

「踊るんじゃないんだ」

「うん。マネージャー」

「そっか」

「結構活動するみたい。イベントとかもあるって」

「忙しくなりそうだね」

「うん。でも、まだ分からないことばっかり」

「始まったばっかだしね」

「寧々先輩っていうマネージャーの先輩がいて、その人に教えてもらってる」

「優しい?」

「うん。すごく話しやすい」

「よかったじゃん」

「うん」

 亜美は笑った。

「それでね」

「うん」

「群司、昔ダンスやってたんだって」

「へえ」

「私、知らなかった」

「そうなんだ」

「上手だよ」

「そっか」

 新しい場所。

 新しい人。

 群司の知らなかった一面。

 亜美は。

 思いついたことから丈に話した。

 丈は。

 時々相槌を打ちながら。

 いつものように聞いていた。

 それが。

 心地よかった。