忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「亜美」

 名前を呼ばれて。

 亜美は振り返った。

「先生」

「お疲れ」

「お疲れさま」

 大学に入って。

 亜美は。

 高校時代に通っていたこの塾で、アルバイトを始めた。

 今は。

 教わる側ではなく。

 教える側。

 それでも。

 丈のことは変わらず。

 先生と呼んでいた。

 塾の授業を終えた丈が、鞄を肩にかけて立っている。

 亜美も帰る準備をしていたところだった。

「今日、もう終わり?」

「うん」

「じゃあ帰ろうか」

「うん」

 自然に。

 隣を歩く。

 高校を卒業して。

 大学生になって。

 生活は大きく変わった。

 通う場所も。

 毎日の時間も。

 周りの人も。

 それなのに。

 丈といると。

 何も変わっていないような気がした。