忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「どうだった?」

 曲が終わる。

「……好きです」

「曲?」

「え」

 幸也が笑う。

「あ……曲です」

「焦りすぎ」

「…………」

 また顔が熱くなる。

「亜美ちゃん、分かりやすいね」

「何がですか」

「すぐ赤くなる」

「…………」

「ほら」

「言わないでください」

「ごめんごめん」

 全然悪いと思っていない顔で。

 幸也が笑う。

 亜美は俯いた。

 恥ずかしい。

 でも。

 帰りたくない。

 もう少し。

 ここにいたい。

 もう少しだけ。

 この人の音を聴いていたい。

「幸也さん」

「ん?」

「また……」

 言いかけて。

 止まる。

「何?」

「…………」

 迷って。

 それでも。

 聞いた。

「また、聴きに来てもいいですか?」

 幸也が亜美を見る。

「いいよ」

「…………」

 嬉しい。

 顔に出ないようにしたかったのに。

 たぶん。

 出てしまった。

「そんな嬉しい?」

「……はい」

「そっか」

 幸也は。

 少しだけ笑った。