忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 大学に入ってから。

 何度か考えていた。

 幸也は。

 今も軽音サークルにいるのかな。

 兄から聞こうと思えば聞けた。

 でも。

 聞けなかった。

 幸也のことを知りたいなんて言ったら。

 どうして、と聞かれる気がしたから。

 兄は知らない。

 自分が。

 幸也に憧れていることを。

「…………」

 大学の中を歩く。

 高校生だった頃。

 初めてここへ来た日のことを思い出す。

 知らない建物。

 知らない人。

 知らない大学。

 その中で。

 聞こえてきた音。

 惹かれるように。

 足を止めた。

 そして。

 幸也に会った。

 あの日から。

 ずっと。

 忘れられなかった。