忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「亜美」

「ん?」

 振り返る。

 群司が立っていた。

「大丈夫?」

「何が?」

「忙しそうだったから」

「まだ何もしてないよ」

「結構動いてたじゃん」

「寧々先輩に教えてもらってるだけ」

「そっか」

「うん」

 群司が亜美を見る。

「無理しないでね」

「してない」

「ならいいけど」

「群司こそ」

「俺?」

「久しぶりなんでしょ」

「ああ」

「筋肉痛とか」

「…………」

 群司が一瞬黙った。

「ある?」

「ないよ」

「ほんと?」

「ほんと」

「昨日、階段ちょっと変だった」

「…………」

「やっぱりあるんじゃん」

「ちょっとだけ」

 亜美が笑う。

「無理しないでね」

「それ俺が言ったやつ」

「返しただけ」

「はいはい」

 群司も笑った。

 高校の頃と。

 何も変わらない。

 こうして話していると。

 屋上で一緒に昼を食べていた頃と同じだった。

 でも。

 群司が練習へ戻り、音に合わせて踊り始めると。

「…………」

 少しだけ違って見える。

 知らなかった。

 こんなふうに踊れること。

 昔ダンスを習っていたことも。

 友達なのに。

 まだ知らないことがある。

 それが少し不思議だった。