忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

「どうする? 入る?」

 帰り際、先輩に聞かれた。

「……入りたいです」

 群司は少し考えてから答えた。

「よし」

 先輩が笑う。

「経験者は助かる。新入生まだ募集してるから、友達も誘ってくれ」

「はい」

 その視線が亜美へ向く。

「君は?」

「え?」

「一緒に入らない?」

「私、踊れないです」

「初心者もいるよ」

「いや……」

 亜美は困って群司を見る。

「私、ダンスは」

「うん」

 群司が笑う。

「亜美が踊ってるところは、俺もあんまり想像できないけど」

「群司に言われたくない」

「俺は踊れたでしょ」

「……そうだけど」

 先輩が二人を見て、また少し笑った。

「仲いいな」

「高校一緒だったんで」

「なるほど」

 先輩が少し考える。

「じゃあ、マネージャーは?」

「マネージャー?」

「そう。人数多いから、練習とかイベントのとき結構やることがあって」

「…………」

「練習場所の管理とか、イベントの連絡とか。文化祭みたいな大きいステージになると忙しくなるけど、最初はこっちで教える」

 亜美は部屋の中を見る。

 サークル。

 自分が入ることなんて考えていなかった。

 大学に入ったら。

 授業を受けて。

 時間があれば、幸也に会いに行って。

 それくらいしか考えていなかった。

「……私にできますか?」

「できるよ」

 先輩は迷わず答えた。

「最初からできるやつなんていないから」

「…………」

 その言葉に、少しだけ肩の力が抜ける。