本日の謁見の後。
 エルシアをこの国に迎えられたことを祝し、私たちは場所を大広間に移して盛大な宴を開くことにした。

 無礼講の宴は大きく盛り上がり、今も私はエルシアの隣で彼女を見守りながら食事を楽しんでいる。

「エルシア殿、今後とも我らとよろしくお願いいたしますぞ!」
「あっはい、こちらこそ!」

 元気に受け答えする彼女の元には、今も多くの魔族が詰めかけている。

 彼女がセーウェルトの人間だということは、城のほとんどの人間にはもう伝えているが、敵対心を露骨に抱いている者は居ないように見受けられる。

 その理由は恐らく、魔族という種族の姿が千差万別であることが大きく関わっているのだろう。ジュデットの国土は広く、この種族の姿は、やや縦長の瞳孔がある特徴的なその瞳を覗けば、人型であるもの、獣の特徴を残しているものなど非常に幅広い。要するに、他人の姿形に対して非常に寛容な種族なのだ。