ああ、せいせいした。
 この国がうまく行こうが行くまいが、もう私には関係ないんだ。

 部屋を出ると、解放感が私の身を包む。
 背筋をぐっと伸ばし、鼻歌交じりでこれからの自由な生活に思いを馳せる。

 大聖女という肩書は失くしたけれど、そんなことどうでもいい。
 やっと今日から自分のための人生を歩みだせるんだから。

 そして私は思った。
 地位だとか、婚約だとか、もううんざり。
 そうだ……しばし、気楽な一人旅にでも出ちゃおうかと。