「本日は御拝謁を賜りまして恐悦至極にございます。いずこの国でも命は平等に大切なものでありますので、医に携わる者としてお役に立てたこと、嬉しく思っております」

 私の畏まった言葉に陛下はにっこりと笑いかけ、大きく手を打ち鳴らした。

「そう堅苦しくせずともよいぞ。皆の者、この者を大きく讃えよ。この者は己が病床であったにもかかわらず儂の元に駆けつけ、適切な治療を施してくれた。儂を……ひいてはジュデットを騒乱より救うことになった恩人なのじゃからな」
「聖女よ、感謝いたしますぞ!」
「この功績は国で代々語り継いでゆかなければなりませんな!」

 すると広間は万雷の拍手に包まれ、更に私は肩を竦めた。

 私をセーウェルト人であることを快く思わない方もいるはずなのに……ありがたいやら恥ずかしいやら、感謝の証としてはもうこれだけで十分に思えるのだが。

 勿論陛下の口からは次いで具体的な報酬案が述べられる。