衣装部屋への移動中、両隣に付いた侍女たちからじいっと物珍しそうに見られたので、前々から気になっていたことを尋ねてみる。

「やっぱり、人間はこの国では珍しいの?」
「お気分を害されたならすみません。でも、このお城に足を踏み入れられたのはエルシア様が初めてだと思いますよ? 我が国はセーウェルト王国とは国交を開いておりませんので」

 お団子を揺らして淑やかにミーヤが頷き、その言葉をメイアが継ぐ。

「ジュデットにまったく人間が住んでいない訳ではありません。しかしその数はごく少ないですし、セーウェルト王国と我が国の関係はよくありませんので。エルシア様は、その……私たちを恐ろしく思ったりはしませんか?」
「なんで?」

 活発そうな口調でメイヤが私に問うが、私はう~んと首を捻るばかりだ。

 実際、そこまで私たちと身体的特徴が異なる魔族にまだ出会っていないせいもあるだろうが、私にとっての彼らの印象というのは、良くも悪くも普通。私たち自身と同じだ。