あれ以後の診療はペッカーが引き継いでくれたから今後お側に寄ることは無いと思うけど、元気になった彼らの話を聞くのは楽しみにしつつ、こうして私はここでの居候生活を送っているという訳だ。

 窓際で温かい日光を感じながら身支度を整えつつも、セーウェルトのことを少し考える。元々数か月は家に戻らないつもりだったのだし、あの両親や妹のことだ。心配してはいないだろう。

 今のこの事態をどう説明したものかと思った結果、無事であることだけ書いた手紙を実家とプリュム宛てに送るよう、王太子殿下にはお願いしていた。ジュデットから直接送るわけにはいかないから、魔族と交流のある他国籍人の手にでも委ねられ、きっとセーウェルト国内のどこかの街から発送されるというようなルートを辿るのだろう。ややこしいなあ。

 他にも王太子殿下は忙しい間を縫い、私が臥せっている間話し相手に来てくれたり、本などを持ってきて退屈しないよう取り計らってくれたり。挙句、「時間の許す限りここに居てくれて構わない、歓迎するから」とまで言ってくれて、本当に感謝している。

 まあそんなわけで、今後しばらくはここジュデットで過ごせればと思っている私であった……。