気持ちのいい朝。
 カーテンを開け、室内の両開きの窓を開放して心地よい風に当たる。
 澄みやかな空気の香りはセーウェルトでもここでもそうは変わらない。

「――よーし、やっと全快!」

 魔族の国ジュデット。その首都に佇む王城の一室の窓際。
 そこには気持ちよくグッと背を伸ばす私がいた。


 ――結局、私の声と体が元に戻るまでそれから更に一カ月。

 無理をした反動が祟ったのか、ひどい筋肉痛やら倦怠感で苦しんだり、お腹がすくのをしょっぱいスープだけで我慢するような苦難の日々。

 けれどそれも次第によくなり、前の仕事のせいで目元を覆っていた隈もすっきり顔から消え去り、今や絶好調。

 そういえば、その間陛下も順調に治癒していった様子。
 もう起き上がり、政務にも復帰し始めているらしく一安心。