――ぱっくん。

「むぐむぐ……」

 真白な雪が目の前に来たのをいいことに、赤髪の侍女が待ち受けた口の中にそれを閉じ込めた。

「あー、ずるい。私も~」

 それを見て、魔族の王女が真似しようと唇を開く。 

「ミーミル様、あなた様は御身分をお考えになって下さいまし」
「むぅ~むぅ~」

 しかし、そんなはしたない彼女の口は、青髪の侍女がさっと塞いだ。
 苦笑して見せるのは、王女の隣りにいたサラサラの金髪の少年だ。

「ははは……。やあでも、素晴らしい絶景ですね。これが万年雪……一度見てみたかったのですよ。私も」
「……はぁぁぁぁぁぁぁ。溜息しかでません……自分の国にこんな場所があったなんて」