「夫婦なんだから、当然でしょ?」
「え……? あ……そっか」

 何を言っているのだという風に、殿下が首を傾げ、そして私は思い出した。

 ――そう。つい数日前、私は殿下と正式に婚姻を結び、ジュデット王太子妃の身分となったのだ。

 そして私は新しく与えられた部屋で、彼と寝食を共にすることとなった。

「おいで、エルシア」
「は、はい」

 そう言うと殿下は、おっかなびっくり近づいた私を、身体の前で抱き、頭の上に顎を乗せる。

「まだ慣れない?」
「そうですね。未だに……こうしていることに現実感がないです」