白い光が瞼の裏を照らしたので、私は薄く目を開いた。
 開け放たれた窓から爽やかな風と、どこか物悲しいリュートの音が微かに流れてくる。

 ぼんやりとした視界の中に、誰かの影が映った。

「おはよう、エルシア」
「おはようございますぅ……殿下」

 むにゃむにゃと呟きながら、私は窓のカーテンを開いた殿下をベッドから見上げる。彼はベッドの脇に座ると、寝乱れて顔にかかった私の髪の毛を避けてくれながら笑う。

「二人の時は、クリスでいいって言っただろ」
「はい、クリス……」

 そう言って寝ぼけた私はベッドからゆっくり這い出そうとして、その手をずべっと滑らせた。

「なな、なんで貴方がここにいるんですかっ!?」