「魔族にこの国を明け渡すくらいならば、最後の一兵まで戦うことを選ぶわ! 者ども、こやつらを殺せ! セーウェルトはこれより周辺国家との全面戦争に突入する! この大陸全土の覇権を我が国が手にする時ぞ!!」
セーウェルト王の選択は、国家の存亡をかけた血みどろの争い。剣を抜き放ち、国王が自ら発した滅亡への号令が広場を恐慌に陥らせ、もはやこの恐ろしい事態は誰にも抑えられないものだと思えた――。
「そんな事はさせません……。皆さん、落ち着いて下さい! どうか……冷静に」
それを、騒ぎを貫くように凛と響いた言葉が静止させる。
涼やかで芯の通った気持ちのいい声音が風で冷やすように、人々の昂りをゆっくりと鎮めてゆく。
「貴様ら……これはどういう事かっ!」
気付けばセーウェルト王の近くにいた衛兵たちは、続々と後列から現れ始めた多くの兵士たちに取り押さえられていた。彼自身も素早く脇を抱えられ、その身体が縛りつけられる。
「な、何をしておる……慮外者どもが! 誰の許しを得て……」
「父上……、それに兄上。あなたがたの古い考えでは、もうこの国を率いることは出来ないのです」
その声が聞こえてくるのは、城に近い側の一角からだ。
どうやら、セーウェルト王たちを拘束するよう命じたのは兵士たちを割るように後ろから進み出てきた、美しい身なりの少年らしい。
セーウェルト王の選択は、国家の存亡をかけた血みどろの争い。剣を抜き放ち、国王が自ら発した滅亡への号令が広場を恐慌に陥らせ、もはやこの恐ろしい事態は誰にも抑えられないものだと思えた――。
「そんな事はさせません……。皆さん、落ち着いて下さい! どうか……冷静に」
それを、騒ぎを貫くように凛と響いた言葉が静止させる。
涼やかで芯の通った気持ちのいい声音が風で冷やすように、人々の昂りをゆっくりと鎮めてゆく。
「貴様ら……これはどういう事かっ!」
気付けばセーウェルト王の近くにいた衛兵たちは、続々と後列から現れ始めた多くの兵士たちに取り押さえられていた。彼自身も素早く脇を抱えられ、その身体が縛りつけられる。
「な、何をしておる……慮外者どもが! 誰の許しを得て……」
「父上……、それに兄上。あなたがたの古い考えでは、もうこの国を率いることは出来ないのです」
その声が聞こえてくるのは、城に近い側の一角からだ。
どうやら、セーウェルト王たちを拘束するよう命じたのは兵士たちを割るように後ろから進み出てきた、美しい身なりの少年らしい。



