「お願い……! 誰か助けて――!」

 処刑執行人が持つ斧が、刃を吊るしピンと張った綱に向けて振り被られる。

「む……妙に兵の数が多い……か? それに……あ、あれは!」

 そんな中で、何かに気付いたのかセーウェルト王が訝し気に告げ、騒ぎが広まる広場前の民衆に割り込んで来る者たちの姿を捉える。

 その中のひとつの影が、広場に躍り出てこちらへと駆け……。

「魔族ぅッ!?」

 そして、振り上げられた斧の柄を、綺麗な銀色の刃が陽光を弾いて横切り、切断した――。