物凄い熱気を宿した歓声が響き、それを確認した指揮官は振り返らず、馬首を巡らした。

「と、いうことだ。貴様らは付いて来るなり勝手にしろ。しかし、決して民は傷つけるなよ」

 そうして彼は凱旋するかのように堂々と、部下たちと街の中に足を進めていった。おそらく城門を制圧し、続く我々のために道を広げてくれるつもりなのだ。

「感謝する……!」

 その姿にジュデット式の敬礼を送ると、私たちも後ろに続いていく。

(エルシア……私は来たよ。それに、こんなに多くの人たちが君を想って助けようと動いてくれた。だから、もうなにも心配することはない。待っていてくれ)

 ここまでくればもう後のことは考えない。
 私の瞳はあの銀の髪の聖女を探して、ひたすら街の奥を睨み続けた。