わたしが両手を広げて事実を知らしめてやっても、姉はだんまりでその場に座り込んだまま。だけど、その肩は失意に震えている。

 もうこいつに用はない。後は処刑の日を待つだけだ。

「今まで国にこき使われるだけの人生、ご苦労様。あんたが育てたこの力はわたしがうまく使ってあげる。それじゃあね、愛すべきバァカなお姉様。きゃは、きゃははははは――!」

 わたしは高らかに笑いながら、その場を後にする。
 繰り言を父は発し、ギーツ様は何も言わず彼の背中を押してゆく。

 戻る時に一度だけ、わたしは姉の姿を見る。
 蝋燭の明かりの下で蹲る姉の姿は、まるで虫けらのように小さくて……もはやわたしの心に湧いたのは、かすかな憐れみと蔑みの気持ちだけだった。