わたしは含み笑いをしながら暗い廊下を歩いていく。

 この数か月、わたしは徹底的に自分を抑え、姉様や他の誰かに今のわたしの野望を悟られないように尽くした。あのプリュムや姉様に媚びるのは業腹だったけど、未来の王妃に返り咲くことを考えれば、なんてことなかったわ。

 そして同時に姉や他の聖女たちから技術を盗んだ。今のわたしなら、姉の力さえ奪えば、あのプリュムたちに大きな顔をさせず、再び見下し全国民からの崇拝を受けられるに違いない。

 奥に小さな蝋燭の明かりと、隅で縮こまる姉の姿が見えて来た。

 残念だったわね、姉様。もし魔族の国にそのままいれば、きっとあのイケメン王太子と楽しい生活を送れていたでしょうに。妙な仏心を出して帰ったりするからこんな目に遭うのよ。わたしだったらそんなことしなかった。 

 そうね、もしわたしが王妃についてジュデットを滅ぼした暁には、あの王太子もハーレムに入れて、屈辱を味あわせてやるのもいいかもね。犬みたいに足をぺろぺろ舐めさせ、頭を踏みつけにして撫でてあげるのよ。ま、生きていたらの話だけど。

 姉がわたしたちが近付くのに気付いてハッと顔を上げ、鉄格子にしがみ付いた。