「大聖女リリカよ、説得の期限は一週間後までとし、その翌日、王城前広場にてそやつの処刑を決行する。では連れていけ」
「「ハッ!」」
(リリカ……)

 私は兵士たちに腕を掴まれながら、後ろを振り返る。
 私のみならず、両親の命まで盾に取られて平然としているリリカのことが信じられずに。

 しかし、リリカの表情は微笑みを宿したまま変わっておらず、その心の中を私では欠片も窺い知る知ることは出来ない。

 その存在は近くにいながら、何か見えない壁で隔てられているかのように遠かった。