……とく、とくと、心臓が鼓動を刻んでいる。

 瞼の裏で光を感じ、私はうっすらと目を開けた。
 薄ぼんやりとしていた視界が、徐々に鮮明になってゆく。
 どうにも眩しい……。

(生きてる……。九死に一生ってやつ……かな)

 目が覚めるとは思わなかった、というのが今の感想。
 首を動かして肩を見ると、丁寧に包帯が巻かれている。

 どうやら誰かが適切な手当てをしてくれたようで、私は天井に息を逃す。
 まだ体の動きが鈍い……多分毒のダメージが体に残っているのだ。

 しばらく、目を開けたり閉じたりして、周りを確認する。
 私は今、広い部屋のベッドに寝ているようだ。