「う、ここは……」

 次に私が目を覚ましたのは、冷えた硬い石の上だった。
 蝋燭一本分の明かりしか確保されていない周囲は薄暗く、かびた様な匂いが漂う。腕は後ろに回され麻縄できつく縛られていた。

 私は割れるように痛む頭を押さえ、記憶を掘り返そうとする。
 そうだ、私はリリカに一服盛られ、その後何者かにどこかへと運ばれたのだ。

「あの、誰か……。誰か居ませんか?」

 私は、前面の一か所開けた方向に張り巡らされた鉄格子を掴んで叫ぶ。すると、隣の壁から声が聞こえてきた。

「うう……。エルシア? エルシアなのか?」
「その声って、まさか」

 聞き覚えがあるその声に、私はもっと耳を済まそうとその壁に近付き、大きく叫ぶ。