「プリュム、ただいま」
「触るな、あんたを相手してる暇はない! 役立たずの大聖女様はせめて場所を取らないよう床にでも貼っ付いて……て?」

 私を誰かと見間違えたのが、伸ばした手は叩かれ鋭い叱責の声が飛ぶ。
 でもそれは途中から尻すぼみになり、涙声に変わっていった。

「えっ? ま……まさか、まさか。エ、エルシア、様?」
「戻るのが遅くなってごめんね。さあ、今から私もすぐに患者の処置を手伝うから。もうひと頑張りできる?」
「エ、エルシア様……ああ、幻覚じゃない! 本物だぁぁ~!」

 プリュムは私の身体に抱き着き、感触を確かめてぼろぼろ涙をこぼす。髪はぼさぼさで顔色も悪く、今にも倒れそうにふらついているが、きっとなんとか気力だけでここまで持たせていたのだ。

「本当によく頑張ってくれたわ。やり方は前と変わってない?」
「すみません、わた、私ぃ……不甲斐なくてぇ」
「そんなことない。これだけ多くの患者を前に逃げ出さずに踏ん張ってたんだから、大したものよ。さあ、話は後。まずは所内から綺麗に片づけて行きましょ。今日中に終わらせちゃおう」
「は、はいっ!」